坪内祐三『古本的』(毎日新聞社)

古本的

前半が、週刊誌(アミューズだったか?)に連載されていた、古本を題材としたエッセイで、後半が、光文社のミステリ季刊雑誌『ジャーロ』での連載をまとめたもの。著者自身も書いていたけど、じつは坪内氏が古本本(ふるほんぼん)を出すのは、これが初めてということになるらしい。意外である。

この本、古本をめぐる身辺雑記と言ってしまえばそれまでだけど、この人の書く文章は、読みはじめるとどんどんと先に進んでしまう何かがある。
古本の奥深さを堪能するという点では、前半がいい。
足繁く古書展をまわり、探していた本を手に入れるくだりや、購入した古本から、いまでは埋もれてしまっている作家の言動や昔の風俗を淡く浮かびあがらせるところ、などなど。

古本屋めぐりをしたくなってきた。