あさのあつこ『バッテリー』『バッテリー2』(角川文庫)

バッテリー (角川文庫) バッテリー (2) (角川文庫)

すでにあちこちで「傑作!」という評判を目にする『バッテリー』のシリーズ。先日、単行本で第6巻が出て完結したらしい。(「本の雑誌」3月号で第6巻の書評が出ていたようだけど、まだ読んでいない)
今のところ、読んだのは文庫になった最初の2冊のみだが、ホントに面白い。


「すごい」という噂は、前から雑誌などで目にしていたけど、『バッテリー』を読もうと思った直接のきっかけは、図書館にあった雑誌のバックナンバーで、週刊朝日別冊の「小説トリッパー」2004年秋季号にあった北上次郎の「小説を読む喜びがぎっしりつまっている」と題した書評を読んだから。
http://www3.asahi.com/opendoors/zasshi/tpper/backnumber/l2004aut.html

その中で北上次郎が絶賛しているのはもちろんだけど、書評の中で引用されている小説(第一部)の断片からだけでも、この『バッテリー』という小説を読む気にさせる。
(つまりは、すぐれた書評だということ)


この2冊とも(とはいっても別々の日に、だけど)、途中で休むことなく、一気に読んだ。
北上次郎も書いていたけど、一度読み始めるとやめられないほど、読み手をつかんで離さない。こういう小説を読んだのは久しぶり。
著者は児童文学の書き手。
この小説も単行本では児童文学として出版されてるようで、文章は平易だし、題材も野球や家族という身近なものだし、主人公も中学一年生。でもこの小説には、天才的で傲慢なまでに自信に満ちたひとりの野球少年を物語の中心にすえて、児童文学という枠をはるかに越える射程と意思の力を感じる。
そうした「感じ」は、文庫版のあとがきでも、著者の気負いとともにうかがえるのではないだろうか。


第3部以降、どういう展開になるのか興味津々だが、全巻読んだ後には、また感想を書いてみたい。