野村一夫『子犬に語る社会学』(洋泉社)

子犬に語る社会学

表紙には子犬が描かれ、中身もタイトルどおりに飼っている子犬へ語りかけるスタイルで書かれた、社会学の入門的な本。
まだ子犬なので、飼い主の意向を感じとったり、応答があるわけではない。
したがって、その書きぶり(語りぶり、か)も、大学の授業のようではなく、具体的な事例にあふれたものでもない。あたかも子犬の生活世界に寄り添うかのような感じ。

とはいえ、カバーしている範囲も幅広く、「社会学とはどういう学問か、その役割や存在意義は何か」といったことに、著者が一貫した立場で応えようとしている。その立場は、「社会学は「反省する現代人のためのことば」」(p15)というもの。
全体がひとつのエッセイ風だ。
分量もそれほどないので、一気に読めて、社会学という学問への見通しが明るくなる(ような気がする)。

ただ、この分量で1600円というのはどうか。新書にすれば値段は半分?