荷宮和子『若者はなぜ怒らなくなったのか』(中公新書ラクレ)

「女子供文化評論家」を名乗る著者が、2003年7月に出した本。
ちょっと「いまさら」という気がしなくもなかったが、図書館でたまたま見つけたので、借りて読んでみた。
ここで言われる「若者」とは、いわゆる「団塊ジュニア」を指している。
著者は、現在の若者=団塊ジュニアの生態をさまざまな場面で批判的に描きながら、若者が「決まっちゃったことはしょうがない」と言って現状を肯定することに、腹を立てている。そして、「団塊ジュニア」の親たち=団塊の世代のメンタリティーをも随所に文句を言いながら、両方の世代にはさまれた自らの位置を「くびれ世代」と呼び、少数派だという。最後は、「怒るべき時に怒れる人間になれ」というメッセージ。
最近、TVのニュースを見ていても、街角のインタビューで目立つ「語り口」は、タカ派的な物言いであって、決してこの著者のような「ハト派」のそれではないように感じる。そうした中で、この著者のような物言い(ができる人)は、貴重だとは思う。いろいろな理屈はあるにせよ、とりあえずは「戦争はダメ」から始まる意思表示も大事だ。
ただ、あまり世代の対立を浮き立たせるような書き方は、どうなのか。少数派という点で言えば、いまの20代前半より若い世代なんて、「くびれ世代」より少数だろうし、団塊ジュニアとの意識も、けっこう異なるのではないだろうか。
それと、「怒らなくなった」のは団塊ジュニア世代だけなく、いまの日本の人々全てのような気もするし。(自分も含めて)
「怒るべき時に怒れる」個人になるとともに、それをどうやってヨコにつなげていくのか、いかにして「状況の変化」まで行かせるか、その訓練と探求も必要な気がしている。

若者はなぜ怒らなくなったのか―団塊と団塊ジュニアの溝 (中公新書ラクレ)